・令和05(2023)年8月
・北海道斜里郡斜里町以久科北
浜辺の流木を、一方の端を支点にして地面につけたまま、反対の端を持ち上げてV字を描く様に移動させて、置き直す。これを数時間から数日おきに繰り返す。
ある時誰かが斜めに流木を置き直した痕跡があったから、その動きを起点にして、付近のいくつかの流木も一斉に同じ仕方で移動させ始めた。
どの流木も、移動の度に、それぞれの場所に置かれてゐた時間の長さやその時の天候に関係する共通的な痕跡を、順に砂の上に残していくが、その痕跡は、人の往来や風雨によって、日が経った分から周りに同化して消えていく。消え方は、それぞれの流木の場所によって少しづつ異なる。
同じ頻度で移動させると、長い流木ほど早く遠くに行く。